新学習指導要領に対応した学習評価(小学校 算数科):新学習指導要領編 №38
Summary
TLDRこのスクリプトでは、新学習指導要領に対応した小学校算数科の学習評価について解説しています。教科調査官の笠井健一さんが、学習指導要領と単元評価規準の関係、評価場面的精選、観点別評価の進め方などを説明しています。算数科の特徴として、具体的な内容ごとの評価規準の作成や、単元ごとの評価規準との関連付けが挙げられます。また、指導計画と評価計画の組み合わせ方、および「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」それぞれの評価ポイントについても詳細に議論されています。
Takeaways
- 📚 小学校算数における学習評価は、新学習指導要領に対応し、単元ごとの評価規準に基づいて行われることが求められています。
- 🔍 「小学校学習指導要領」と「単元の評価規準」の関係を明確にすることで、算数科の学習内容を効果的に評価できます。
- 📈 算数科では「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を作成し、より具体的な評価が可能になります。
- 🎯 単元の評価規準は「内容のまとまりごとの評価規準」に基づいて作成され、その際には具体的な内容を選んで適切に組み合わせる必要があります。
- 🗓️ 評価場面は精選され、指導と評価の計画に基づいて、適切な評価のタイミングと方法が決定されます。
- 📝 「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」は密接に関連しており、評価規準を指導計画に組み込むことで、効果的な学習評価が可能になります。
- 👀 「思考・判断・表現」および「主体的に学習に取り組む態度」は、授業中の行動観察やノート分析を通じて評価されることが多く、記録に残す評価が重要です。
- 📉 「知識・技能」は単元の最後に「ペーパーテスト」を通じて総括的な評価が行われることが多いです。
- 🤔 ペーパーテストの問題設定には注意が必要で、「思考・判断・表現」の問題と「知識・技能」の問題とを正確に分けることが求められます。
- 📚 学習評価は、児童の学習状況を細かく把握し、特に努力を要する児童に対して適切な指導を行う上で重要な役割を果たします。
- 👨🏫 教師は、学習評価を通じて児童の学習過程を理解し、指導に生かすことが求められています。
Q & A
「小学校学習指導要領」と「単元の評価規準」の関係についてどう説明されていますか?
-「小学校学習指導要領」に基づいて、算数科では各学年の各領域の内容を「内容のまとまり」とし、それぞれの「内容のまとまり」ごとに「知識及び技能」と「思考力・判断力・表現力等」を示しています。これに基づいて「内容のまとまりごとの評価規準」を作成し、さらに具体的な内容に応じて「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を作っています。
「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」の関係はどうなっていますか?
-「単元の評価規準」は、指導計画に合わせて作成され、単位ごとの目標に沿った評価基準を提供します。指導計画では、単元の評価規準に基づいて、各時間ごとの目標に応じた評価規準を割り当て、それを基に学習を指導します。
「単元の評価規準」を作成する際の手順は何ですか?
-「単元の評価規準」を作成する手順は以下の通りです。まず「小学校学習指導要領」に基づく「内容のまとまりごとの評価規準」を作成し、次にその文言に基づいて「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を作成し、最後にそれを基に「単元の評価規準」を作ります。
算数科における「内容のまとまりごとの評価規準」をどのように具体化していますか?
-算数科では、抽象的な「内容のまとまりごとの評価規準」をより具体化するために、「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を作成します。これは、具体的な評価項目を明確に定義し、評価の際に判断を容易にするものです。
「単元の評価規準」はどのようにして選択されるのでしょうか?
-「単元の評価規準」は、「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」から選んで作成されます。算数科では、単元が「内容のまとまり」そのままとなっている場合とそうでない場合があるため、適切な項目を選ぶ必要があります。
評価場面を精選することのポイントは何ですか?
-評価場面を精選するポイントは、単元の評価規準に基づいて細かな文言を作成し、指導と評価の計画に使うことで、全員を評価し記録に残す場面を選定するという点です。これにより、特に努力を要する状況にある児童を見つけ、指導に生かすことができます。
「知識・技能」を評価する際にはどのような点に注意を払うべきですか?
-「知識・技能」を評価する際には、単元末だけでなく、毎時間児童の学習状況を把握し、特に努力を要する状況にある児童には確実に習得できるように指導することが大切です。また、ペーパーテストで評価する際には、数学的な考え方を問う問題と実際の問題解決能力を問う問題とを区別し、適切に評価する必要があります。
「思考・判断・表現」を評価する際にはどのようなアプローチをとるべきですか?
-「思考・判断・表現」を評価する際には、授業中の発言や話し合い、個人解決時の問題解決の様子、適用問題や活用問題の解決の様子、学習感想などの振り返りなど、児童の行動観察やノート分析から評価の情報を収集することが考えられます。
「主体的に学習に取り組む態度」とはどのようなものですか?
-「主体的に学習に取り組む態度」とは、授業中の問題発見や解決の過程において既習事項を活用したり、話し合いの中で他者の意見を参考にしたり、よりよい表現や方法を考えたり、新たな問題場面を見いだしたり、日常生活の場面において活用しようとする姿勢を指します。
学習評価において「総括の資料にするために記録に残す評価」とはどのような評価ですか?
-「総括の資料にするために記録に残す評価」とは、単元の評価基準を満たす児童の学習状況を記録し、総括の資料として残す評価です。これは、単元の最後のペーパーテストや授業中の行動観察、ノート分析などを通じて行われます。
算数科における学習評価のポイントとして特に重要な要素は何ですか?
-算数科における学習評価の重要な要素は、「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3つです。これらの観点に基づいて、児童の学習状況を総合的に評価し、指導に生かすことができます。
Outlines
📚 小学校算数の学習評価と評価規準の関係
文部科学省の笠井健一が、新学習指導要領に基づく小学校算数の学習評価と評価規準の関係について解説。算数科は各学年ごとに「内容のまとまりごとの評価規準」を設定し、具体的な評価基準を定める。算数では抽象的な内容を具体化する必要があり、単元ごとに評価規準を設定する際には注意が必要。
📐 「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」の関係
単元の評価規準に基づいて指導計画を作成し、それをもとに評価を行うプロセスについて説明。具体例として第3学年「余りのあるわり算」の評価規準と指導計画を紹介。評価規準を細かく設定し、指導計画に組み込み、適切な評価場面を選んで記録する重要性が強調される。
🔍 観点別学習状況の評価方法
「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」それぞれの観点について、どのように評価を行うかについて説明。ペーパーテストの問題例を通じて、それぞれの観点に対応する評価方法を具体的に示し、評価の仕組みとその意義を解説。
🎯 学習評価の実践例と評価基準の設定
実際の学習評価の例を通じて、評価基準を設定し、それをもとに学習者の状況を評価するプロセスについて解説。具体的な評価基準を用いて、学習者の主体的な取り組みや思考の多面性などを評価し、それに基づいた指導の重要性を示す。
Mindmap
Keywords
💡学習指導要領
💡単元の評価規準
💡内容のまとまりごとの評価規準
💡具体的な内容のまとまりごとの評価規準
💡指導と評価の計画
💡知識及び技能
💡思考力・判断力・表現力
💡主体的に学習に取り組む態度
💡ペーパーテスト
💡行動観察
💡ノート分析
Highlights
新学習指導要領に対応した学習評価について小学校算数科の取り組みを紹介
「小学校学習指導要領」と「単元の評価規準」の関係を説明
算数科の特徴として「内容のまとまりごとの評価規準」の扱い方
「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」の関係を解説
評価場面の精選について述べる
単元における観点別評価の進め方について解説
「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料を基に説明
算数科の「内容のまとまりごとの評価規準」の作成方法
「内容のまとまりごとの評価規準」から「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」への移行
算数科における単元と「内容のまとまり」の関係について解説
単元の評価規準の作成手順を紹介
「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」の関係を紐解く
評価規準を指導計画に組み込む方法を解説
「知識・技能」の評価方法とペーパーテストでの注意点
「思考・判断・表現」の評価方法と授業中の評価ポイント
「主体的に学習に取り組む態度」の評価とその重要性
評価内容と評価機会の後半に記録に残す評価を行う方法
具体例を用いて算数科の学習評価のポイントを解説
Transcripts
新学習指導要領に対応した学習評価。小学校算数についてお話しいたします 。私は、文部科学省 初等中等教育局 教育課程課の教科調査官をさせていただいております、笠井健一です。
今回のお話の流れは次の通りです。 最初に、「小学校学習指導要領」と「単元の評価規準」の関係について説明します。
小学校算数科では「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を入れていることなどが特徴です。
次に、「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」の関係について説明します。 その中で、評価場面を精選することについて述べます。
最後に、単元における観点別評価の進め方について述べます。
今回の話は、文部科学省 国立教育政策研究所で出しました、『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料
【小学校算数】』で示された内容を基に説明します。
今回は、この参考資料の、ここに示した 第2編及び第3辺の内容をもとにお話ししています。
それでは早速、内容に入りましょう。 最初は、算数科における「小学校学習指導要領」と「単元の評価規準」の関係についてです。
まず、小学校算数科では、小学校学習指導要領の内容に示した、各学年の各領域の(1)、(2)を
「内容のまとまり」とすることにしました。 これは、前回と変えたところです。前回は、各学年の各領域を
「内容のまとまり」としていました。
今回の学習指導要領では、算数科では、「内容のまとまり」ごとに「知識及び技能」と「思考力・判断力・表現力等」が示しています。
ここに示したのは、第3学年A数と計算 (4)除法のものです。
このように、「内容のまとまり」ごとに、「知識及び技能」と「思考力・判断力・表現力等」が示されましたので、その語尾を変えるだけで「内容のまとまりごとの評価規準」を作成することができます。
この例では、赤で示したように 「知ること」を「知っている」、「すること」を「している」と変えるなどして作成しています。
また、「主体的に学習に取り組む態度」は、(1)(2)という「内容のまとまり」には示されて いませんので、
「学年の評価の観点の趣旨」の文言を基に作成することとしました。
このように、内容のまとまりごとに作成したものが、そのまま単元の評価規準となる教科も ありますが、
算数はそれではうまくいかないことが分かりました。 示された内容が、とても抽象的であるので、具体的に評価する際に判断に困ることがある
ためです。
そこで、「内容のまとまりごとの評価規準」をもとに「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」 を作成することにしました。
これも、参考資料の巻末に載せています。 ここでは、先ほどの第3学年A数と計算
(4)の除法の「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を示しています。 それでは、ここに示した「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」をそのまま
「単元の評価規準」としてよいでしょうか。 実はそのままではうまくいかない場合があるのです。
それはなぜかというと、算数科では、「内容のまとまり」がそのまま単元になる場合と、そうで ない場合があるからです。
具体的に説明します。 例えばここに示したように、第2学年C測定の(1)。
長さとかさの単位と測定については、単元「長さ」と「かさ」に分けることが多いと思います。 同様に、第6学年の B図形(1)
縮図や拡大図、対称な図形でも、単元「縮図や拡大図」と「対称な図形」に分けることが多いと思い ます。
一方、第2学年C測定、(2)時間の単位や、第5学年B図形(3)
平面図形の面積は、それぞれそのまま単元としていることが多いと思います。 先ほど示した、第3学年A数と計算(4)の除法では、単元「わり算」
「余りのあるわり算」「大きな数のわり算」と分けていることが多いと思います。
そこで、「単元の評価規準」を作成する場合は、「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」で示し た項目から選んで作成することとしました。
この表は、第3学年A数と計算(4)除法の「具体的な内容のまとまりごとの評価基準」と単元「あまりのあるわり算」の評価規準の
関係を示しています。 「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」のうち
白地の部分を抜いて、単元「余りのあるわり算」の評価規準を作成しています。
このようにして、今回、事例1で示した、 第3学年の単元「余りのあるわり算」の評価基準を作成することができました。
以上のことを振り返り、単元の評価規準の作成の手順を整理するとこのようになります。 「小学校学習指導要領」の文言を基に
「内容のまとまりごとの評価規準」を作成し、「内容のまとまりごとの評価規準」の文言を 基に「具体的な内容のまとまりごとの評価規準」を作成し、
それを基に「単元の評価規準」を作成するということです。
次に、 「単元の評価規準」と「指導と評価の計画」の関係についてお話しします。
第3学年の単元、「余りのあるわり算」をもとに説明します。 単元の目標はここに示したとおりです。
単元の評価規準は、先ほど示したように、ここに示したとおりです。 「知識・技能」は3つ。「思考・判断・表現」は2つ。
「主体的に学習に取り組む態度」は2つ示しています。 それぞれ、①②③、①②などと番号を振っています。
単元の指導計画に合わせて、先ほどの評価規準を入れていきます。
一時間ごとのねらいに合わせて、それに合う 「評価規準」を割り振っていきます。
ここでのポイントは、単元の評価規準の文言より細かな文言を作成して、指導と評価の計画に 用いないということです。
単元の評価規準の文言をそのまま、指導と評価の計画で用いています。 このことにより、全員を評価し記録に残す場面を精選することができるのです。
評価規準は「指導と評価の計画」では、「知①」「思①」などと簡潔に示しています。
ここで、評価規準(評価方法)の欄の赤字で示した 「・(中黒)」と「○」に着目して下さい。
○で示した、全員を評価し、総括の資料にするために記録に残す場面は、4時間目の思考①と
6・7時間目の態度①、9時間目と10時間目しかありません。 それ以外の「・(中黒)」は特に「努力を要する」状況にある児童を見つけ、
指導に生かすために評価する場面としました。
第3学年の単元「余りのあるわり算」の評価の記録の例です。 「記録に残す評価」を基に総括します。
評価の観点ごとに、「単元の評価基準」を「指導と評価の計画」に位置付けることについて整理 するとこのようになります。
「知識・技能」については、単元の最後の「ペーパーテスト」で「総括の資料とするために記録に残す 評価」をすることとしました。
「思考・判断・表現」及び「主体的に学習に取り組む態度」は、同じ評価規準については、単元の中で 高まると考えて、その評価機会の後半に「記録に残す評価」をすることとしました。
その際、主に授業中の「行動観察」や授業後の「ノート分析」で評価することとしました。
それでは、次にさらに詳しく、単元における観点別学習状況の評価について 「知識・技能」、「思考・判断・表現」
「主体的に学習に取り組む態度」ごとにお話しいたします。 「知識・技能」については、先ほどお話ししましたが、
「総括の資料にするために記録に残す評価」を行う機会を単元末にすることが考えられます。
ただし、単元末のみで評価するのではなく、毎時間、児童の学習状況を把握し、特に「努力を要する」状況と考えられる児童には確実に習得できる
ように指導することが大切です。
「知識・技能」をペーパーテストで評価する際に、配慮していただきたいことがあります。 問題1をご覧下さい。
「27mのなわを4mずつ切って、 なわとびのなわを作ります。何本とれて
何mあまりますか。」という文章問題の 式を立てることについて、
こ れはどの観点だと考えていますか。
ペーパーテストでは数学的な考え方のところに文章問題が書いてあったから、 これは
「思考・判断・表現」だと思っていらっしゃる方。 そう思っていらっしゃる方も多いと思いますが、そうではありません。
この問題で、27÷4とわり算の式が立てられるのは、 包含除という除法の意味を理解し、それが用いられる場合について知っているからだ ととらえるのです。 子供は、同じ数ずつ取って幾つ分を求める計算だからわり算だということを知っているから、
27÷4と式を立てるからです。
では、ペーパーテストでは、「思考・判断・表現」の問題は作成できないのでしょうか。 例えば、問題2を見て下さい。
「子供が30人います。4人乗りの車に分かれて乗ります。 みんなが乗るには、車は何台あればよいですか。」という問題では、式は先ほどと同様に考えて、
30÷4と立て、その式の答えは7あまり2と書きますが、
この問題に対する答えは、「7台余り2人」ではありませんね。 8台になります。
そこで、なぜ8台なのか、その理由を書かせて、余りの2人も乗る車が必要だからという理由が書けたら、
「余りのある除法の余りについて、日常生活の場面に応じて考えていること。」になります。
ここでお話ししたかったことは、このように、足し算、引き算、かけ算、わり算 1つ書いて答えが出るような問題の立式は、すべて
「知識・技能」と考えるということです。
「思考・判断・表現」については、先ほども示しましたように、 授業中の発言や話し合いなどの活動の様子と、個人解決時の問題解決の様子、適用問題や
活用問題の解決の様子や学習感想などの振り返り といったノート等の記述内容から評価の情報を
収集することが考えられます。 そして単元の評価規準の評価内容ごとに、授業中の問題発見や解決の時間において、評価
機会の後半に、主として「総括の資料にするために記録に残す評価」を行う機会を設定することが考えられます。
実際、第5学年の四角形と三角形の面積の指導計画でもそうなっています。 思考①と②それぞれ単元の後半に、「総括の資料にするために記録に残す評価」の
場面を設定しています。 第6学年の単元「分数のわり算」の「思考・判断・表現」の①
「分数の除法について、 数の意味と表現をもとにしたり、除法に関して成り立つ性質を用いたりして、計算の仕方を
多面的に捉え考えている。」ことについて、どのように評価を行うのかについて次に述べます。
この時間は、2/5÷3/4の計算の仕方を考える場面です。 前時では、2/5÷1/4の計算の仕方を考えてきています。
そこで、自力解決では、子供たちは、前時の「2/5÷1/4」で考えた考え方などを参考 にこのような方法で計算することが考えられます。
けれども、右下に示したように、わる数を整数にするときに間違える子供もいることが考え られます。
そこで、教師は、机間巡視を行い、手が止まっている子供、間違っている子供を見つけることが大切です。
これが指導に生かす評価です。 どの子供が間違えていたのかを把握することで、次のそれぞれの考え方を発表する際は、
特に分からなかった子供が、「なるほど」と思う場面を作ることが大切です。
そこで、次の「考えを共有し、検討する」場面では、それぞれの考え方を発表させ、 それぞれの考え方について理解させていきます。
間違えていた子供も、なぜ間違えたのか、 どう考えればよいのかなどについて理解できるようにするのです。
そうすることで、答えが出せなかった子供が次の同様の問題を考える際は、答えが出せる ようになり、
一通りで答えが出せていた子供も、二通りの考えで答えが出せるようになることを、 期待することができるのです。
そこで、適用問題として「3/8÷2/7」の計算の仕方を考えさせ、 ノートに書かせるのです。
ここで、総括の資料にするための記録に残す評価を行います。 つまり、自力解決の場面で記録に残すのではなく、
適用問題の場面で記録に残すのです。 自力解決の場面では間違えていた子供も、適用問題で、友達の考えを聞いて、計算の仕方を
面積図やわり算のきまりを用いて考えられるようになったら 「努力を要する」状況とはせずに、例えば
「おおむね満足できる」状況と評価するのです。
「思考・判断・表現」の①は「分数の除法について、 数の意味と表現をもとにしたり、除法に関して成り立つ性質を用いたりして、計算の仕方を
多面的に捉え考えている。」としています。 「多面的に」という言葉が入っています。
とすると、単に、右のように、2通りの考えで答えを出している子供は 、Bの「おおむね満足」 です。
左のように、式に対して、どのように考えたのか 説明を加えている状況が見られた場合にA「十分満足できる」状況としました。
最後に、「主体的に学習に取り組む態度」について説明します。
「主体的に学習に取り組む態度」は授業中の問題発見や解決の過程において、 既習事項を活用したり、話し合いの中で他者の意見を参考にしたりする姿に表れたり、
振り返ってよりよい表現や方法を考えたり、 新たな問題場面を見いだしたり、日常生活の場面において
活用しようとしたりする姿等に表れたりします。 そこで、活動の様子やノート等の記述内容から
評価の情報を収集することが考えられます。
そこで、評価内容ごとに、評価機会の後半に、主として「総括の資料にするために記録に残す評価」 を行う機会を設定することが考えられます。
第3学年の「余りのあるわり算」では主体的に学習に取り組む態度①は、第1時から5時までを受けて、第6・7時を、「総括の資料に
するために記録に残す評価」をする機会としています 一方、主体的に学習に取り組む態度②は、第10時の身の回りからわり算の場面を
見つけようという学習の中で評価することとしています。
第6時から第7時にかけて、図の表し方が洗練していったと考えられる ノート記述の例です。
第5学年の四角形と三角形の面積では、「主体的に学習に取り組む態度」①と②は、 どちらも「思考・判断・表現」①と②に似ていることに気付くことでしょう。
①と①、②と②が対応しています。
整理したものがこの表です。 ①では、どちらも、面積の求め方を考える場面で、子供の姿から評価しています。
「主体的に学習に取り組む態度」では、求積可能な図形に帰着させて、面積を求めようとして いれば「おおむね満足」であるのに対して
「思考・判断・表現」では、求積可能な図形に帰着させて、面積を求めることができた場合に 「おおむね満足」であることとしています。
十分満足も同様です。 ここでは、評価規準に「多面的」という言葉を入れていないので複数の方法で求めようと
していれば、 「主体的に学習に取り組む態度」で「十分満足できる」状況と評価し、
実際に、複数の方法で求めることができたのなら 「思考・判断・表現」で「十分満足できる」状況と評価します。
実際に、台形の面積を求める場合の例です。
ひし形の面積の求め方を振り返り、簡潔かつ的確な表現に高めようとしている例です。
以上、小学校算数科における学習評価のポイントについて話してきました。 先生方の明日からの学習評価にお役に立てることができたとすれば大変うれしいです。
ご静聴ありがとうございました。
Посмотреть больше похожих видео
新学習指導要領に対応した学習評価(小・中学校編)(講師: 文部科学省初等中等教育局主任視学官 長尾篤志):新学習指導要領編 (校内研修シリーズ)No33
算数科の改訂のポイント:新学習指導要領編 №14
Why Evals Matter | LangSmith Evaluations - Part 1
Single Step | LangSmith Evaluation - Part 25
【やってられん】なぜあの人は自分よりも仕事ができないのに評価が高いのか?
【2024年はバリュー株がアツい】ウォーレンバフェットの投資哲学にも影響?割安株のメカニズム/3つの重要指標「PER・PBR・ROE」の関係を図解解説【MONEY SKILL SET EXTRA】
5.0 / 5 (0 votes)